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桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿と言う言葉の意味を改めて考える

2020年7月29日 by TanakaAkira

昔から桜切る馬鹿梅切らぬ馬鹿と言われますが、桜は剪定をしてはいけないのでしょうか?疑問を感じながら造園の世界に入り込み30年が過ぎましたが、実際に多くの桜を見ながらその生理生態を観察していると色々な事が見えてきます。

樹齢50年を超えるソメイヨシノの大木に上ります。

樹齢50年を超えるソメイヨシノの大木に上ります。

本日も剪定作業に出かけました。今年は雨が多く困りますね。できる事から片付けねば終わらないので、日々作業をすすめていますが・・・。修業時代から雨の日も仕事をする習慣を付けてまいりましたので苦ではないのですが、やはり作業効率や現場が汚れてしまう等、お施主様の立場に立つと、作業をするべきか考えてしまう現場もあります。又、雨の日は樹皮や脚立も滑るので危険を伴うような作業もあって神経を使いますね・・・。しかしこの時期の雨は炎天下よりは気持ちが良いですね・・・。今日みたいな小雨が降ったり止んだりの時はさほど濡れる事もなく、私はこんな日が意外と好きだな・・・。

木に上ると、その昔切られた切り口から腐りが入り、至る所が腐っていました。太い枝を途中で切った結果、切口から腐りが入り、太い枝の大半を腐らせてしまいました。

木に上ると、その昔切られた切り口から腐りが入り、至る所が腐っていました。太い枝を途中で切った結果、切口から腐りが入り、太い枝の大半を腐らせてしまいました。

サクラの剪定は冬ではありませんか? 等、色々なご指摘もあると思います。本来は落葉時期、桜が寝ている時期が良いと思いますが、住宅密集地化が進む都市部のベッドタウンでは昨今、御屋敷だった土地が分割されされてしまう事も多くなり、仮に大きな桜が植わっていても維持できない事になってしまいます。仮に残しても桜達は、近隣のクレームの対象になりやすく、近隣に気を使い剪定をせねばならない宿命にあります。多くは太く横に張り出す枝をぶつぶつに切られてしまい、結果として木は傷み劣化していきます。

以前に切られた後を見ると、保護剤が塗布された形跡がありますが、次の写真を見れば役に立たなかったことが分かります。

以前に切られた後を見ると、保護剤が塗布された形跡がありますが、次の写真を見れば役に立たなかったことが分かります。

サクラにはフジザクラなどのような比較的切り込みに強い桜もありますが、ソメイヨシノなどの桜は太い枝を途中で切ると、その傷口がふさがる事はなく、木部は気が付くと腐りが入っていて、カワラタケ等のキノコが枝や幹まで生え始めている光景を良く目にします。腐った木部は白アリや甲虫の幼虫等に食い荒らされてさらに腐りが進みます。

前の写真の下部はこのような感じに腐っています。

前の写真の下部はこのような感じに腐っています。

保護剤の痕跡のあった切口の下部を見てみると、樹皮にキノコが生えていて、樹皮は容易に剥がれました。その下は写真のようにぐずぐずに腐っています。保護剤が意味をなさなかったことがわかります。結局傷口がふさがらなければ、経年劣化で保護剤も保護力を失い、隙間から材を腐らせる菌が侵入してしまうのでしょう。

根元近くにまで腐りは進み大きな洞ができています。

根元近くにまで腐りは進み大きな洞ができています。

この状態ですので、上るのもそのうち危険になるかもしれませんし、最悪は台風等による倒木も心配になります。こうしたお話を家主様にもお伝えせねばならず。剪定するのも気が引けるのですが、近隣のクレームがあり至急対応して欲しいと言うご依頼を無視するわけにもいかず、自分なりの最善を尽くし作業をしてまいりました。

お庭づくりは計画性を持つ事、将来を見据えた植栽計画が必要になります。少し前は、記念樹として大きくなるような木を頂く機会も多かったので、あまり詳しくない方はお庭の片隅に植えられて、後でしまったと思う事も多かったのではないかと思います。私もそうしたご相談を良く頂きますが、一度育ってしまった木を小さくするのは困難です。ぶつぶつに切ってしまえばこのような事が起こりますので、萌芽更新させるなど、かなりの荒業が必要になる場合が多く、できる事であれば、計画的剪定を毎年定期的に行いながら木の成長を抑制する事が好ましいと思います。
桜も1年枝や2年枝程度であれば、切り方にもよりますが、何時剪定してもさほど問題は無いと感じています。剪定技法等、基本を押さえる事は言うまでもありませんが、木を疲れさせない程度の細かい剪定を行えていればお庭も快適ですし、木が傷む事も少なく済みますので、お庭には定期的に鋏を入れる事をお勧めいたします。

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カテゴリー: 管理・手入れ タグ: 剪定, 桜, ソメイヨシノ
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