大樹の冷却効果(樹木下はどれだけ涼しいのか)調べてみました。

木の冷却効果を知っていますか?

木陰だから涼しいと言う事以外にも、地下水(18℃程度)を吸い上げ、葉裏から蒸散させていたり、光(熱)エネルギーにより水と二酸化炭素を反応させて炭水化物を生成する過程で太陽光のエネルギーを吸い取ったり、木は確実に冷房のような熱交換を行う冷却機能を持っています。

我が家に古くからあるケヤキ

祖父の代から我が家にあるケヤキですが、その下が一番涼しい事を私も動物たちも知っています。

それではどれくらい涼しいのでしょうか?

2022年6月29日14時24分  我が家の前の道路にて撮影

初夏の酷暑の頃、我が家の全面道路のアスファルトから90cmくらいの高さにセンサーを吊るし測定した状況が39.8℃、耐えがたい暑さの頃ですが、温度計もこの数字です。東京のこの日の最高気温は天気予報では35℃くらいだったのではないでしょうか。そうした数字を上回るのは天気予報の温度計も緑地の日陰にあるからと聞いております。

東京都内のコンクリートジャングルでは、そうした数字をはるかに超える場所が多いですね。

2022年6月29日14時17分、我が家のケヤキの下にて

ほぼ同時刻のケヤキの木の下の気温です。わずか数十メートルしか離れていませんが、同じ90cmくらいの高さの温度がこのような感じで違います。涼しいと感じるのは6度近い気温差のせいだとわかります。

木々だけでなく、川や海など水辺や湿った土や田んぼ等も、気化熱で周囲の気温を下げてくれます。雨の後に涼しくなるのは、水が気化するときに熱エネルギーを必要とするので、周囲の熱を奪うからです。

都会は木々が邪魔者扱いされて、年々切り倒されます。しかしこうした涼を与えてくれる木々が、苗木から根を地下深く張り冷却機能を持つまでには10年以上の歳月がかかる事でしょう。仮に大きな木を移植しても根は浅く、ほとんど冷却機能に貢献しないのではないかと感じております。そのうちそんなデータも測定してみたいと思います。

個人邸の木々は相続や、近隣に神経質な方々が増える事で、次々に切り倒されている現状があります。先日もかつては地主さんの住んでいた土地の大ケヤキが、ある日突然消えました。マンションを建てた後も残る大ケヤキでしたが残念です。周囲のクレームや、不動産屋さんや建築屋さんなどの考えも古く、木は一般的に厄介者扱いです。こうした理由から管理費だけでも高額な木を個人では守るのは容易な事ではありません。もはや都会では希少な木々となってしまいました。近隣の神社、仏閣の木々ですら切り倒される昨今です。

こうした事を踏まえると、国や都、区が管理していく覚悟をしっかりと持たねば、もはや古い木々は残らないと感じます。

一部の落ち葉を嫌う方々の存在が木を切り倒す結果となっている事もありますので、コミュニティー全体の意見としてまとめ上げ、木を残そうと言うマンパワーも必要でしょう。

冷房は便利ではありますが、室内に冷気を送る反面、室外にはそれ以上の熱気を捨てております。もはや一家に数台、フルタイムで冷やす時代となり、立て込む住宅地からはおびただしい熱気が室外に捨てられます。木々や土面、緑地が無くなり、暑いからと冷房をつける結果、都会のような空間がヒートアイランド化するのはこうした事の積み重ねなのだと感じます。

もし電力が止まったらどうなるのだろう?

そんな時に避難できる木陰を想像してみてください。都内人口に対してどれだけの高木が残っているでしょうか?

出来る事なら数人に1本、等決めて木々の存在意義を考えても良いのではないかと感じる昨今です。

何でも便利が当たり前と感じてしまう時代ですが、文明は時として脆弱です。文明以前の文化や、自然が育んできた物をもっともっと大切にしていくべきではないかと切に願う日々を、庭師として酷暑の屋外で日々働き感じる次第であります。

我々は木の剪定仕事が多く、まだ救われていますが、道路上で作業する方々や、建築系の作業員の方々の事を考えると、この季節の体温を超える暑さ、もはや殺人的です・・・

環境問題の個人的認識度が遅れた日本を、先進国レベルの環境先進国にするにはどうすれば良いのか・・・ 考えてしまいますね・・・