ようこそ

田中 哲(たなかあきら)

田中 哲(たなか あきら)

造園の出発点は山梨の自然
当時生まれ育った木造平屋の古い社宅には、隣接するそれぞれの社宅全てにお庭がありました。迷い込んできた猫や犬をはじめ、庭先に現れる生き物と、木々や草花にあふれる空間だったため、近所の子供たちと、キイチゴやグミなど口に頬張りながら過ごしました。近所の子供たちと遊びに出れば、生き物がひしめく田んぼや小川で過ごす日々を過ごしておりました。叔父と祖母が暮らしていた山梨県棡原村は山村で、休みは預けられる事も多く、祖母と良く山歩きをしたり、沢遊びをして、山の恵みを頂き過ごしました。思えば原風景は沢山ありますが、造園家としてすでにそのころからスタートしていたと感じます。

東京に引っ越し、自然の大切さを知る
そんな私が父の転勤で東京に移り住んだのは10歳の頃。川は汚れ、わずかな畑や自然林も年々切られて行きました。無機質な環境に馴染めず、休日や自然を求めて郊外に出かける事も多く、都会でも木々や生き物に囲まれて過ごすためにスキルを集めるようになりました。又、戦前生まれの父母や祖父母などから戦中の話を聞き、生きるために本当に必要なのは、綺麗な水源を維持する事や、食料を作る畑、その供給源である豊かな自然を使いこなす知恵が必要と感じ、お年寄りから文明よりも文化を習う事が多い人生でした。そんな思いを胸に、少しずつインプットしてきたことを、アウトプットしながら、都会に有機質な緑地を庭と言う形で表現しています。

庭は自然を学ぶ場所
私の庭は作っておしまいではありません。施主様と大切に育て育むことを意識して、生活に潤いを与えられるように十分なヒアリングを重ねお庭を育てていくお仕事です。育てる事が好きで、植物や動物、我が子も育てる現在ですが、多くの子供たちにも自然に慣れ親しんでもらいたいと考えております。環境問題が進む中、1万年続いた奇縄文時代に、狩猟民族なのに定住できるほど豊かな日本の自然が関係していたことはあまり知られていません。我々の礎である日本の自然と文化を学ぶ第一歩として、お庭という比較的安心安全な環境で、緑に触れ、生き物に触れ育って欲しいと願う者であります。