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趣味の園芸講師の玉崎弘志氏を偲んで

2020年7月23日 by TanakaAkira

NHK趣味の園芸講師、玉さんの愛称で親しまれた玉崎弘志氏が7月19日の朝お亡くなりになりました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

玉崎弘志氏

NHK趣味の園芸「玉さん庭をゆく」の取材先出のお写真です。休憩の折に写したプライベートなお写真を今回のために頂きました。

玉さんと出会ったのは27年ほど前の1993年頃の事でした。造園会社のアルバイトをしながら未来を模索していた自分が玉さんと初めて出会ったのは、大手ゼネコンで行われていた巨木の植栽工事に参加させて頂いた折の事でした。現場監督として見回りに訪れた玉さんと言う方より、お茶を買ってきてと小銭を渡され、春先の霙の中でしたので寒いから走って行ってくるようにと言われ缶コーヒーを買い出しに行った印象が残ります。1人のガードマンさんが体を張って都会の片側3車線の道路の中央に飛び出し車を止め、大型トレーラーが3車線をまたぐように大きく回りながら場内に入ってきます。荷台には根鉢がはみ出すような、重さ数十トンのクスノキやケヤキ等の植木が1本積まれています。玉さんはそんな大きな木を1本吊りで(不通は樹皮が剥けないように2点吊りする)木をまっすぐに吊し上げ、ツリーサークルに吊り込む技を自力で考案して、そのスピードと正確さが評価されていました。大きな木が空を飛ぶ・・・すごかったですね・・・。その後、大きな池の改修工事があった折に玉さんと再会し、お茶の時間に会話が弾み、5年後にお仕事のお手伝いを本格的に始める事になります。

イングリッシュガーデンに憧れて(写真は坂野ガーデンさんより)

イングリッシュガーデンに憧れて(写真は坂野ガーデンさんより)

お手伝いを始めたのはイングリッシュガーデンブームが始まる2年ほど前の事でした。当時はガーデニングと言う言葉は聞きなれないものでしたが、日本初となるイングリッシュガーデンを学んだデザイナーの白井温紀先生がイギリスより帰国し、玉さんを頼り仕事を開始していた時期ででもありました。白井デザイナーとイギリスに行き刺激を受けて戻った玉さんの興奮ぶりが今も蘇ります。すでに勢いを帯び始めていたコニファーガーデンの流れも合わさって、洋風庭園に対する憧れが国内で増幅されていた時期でもあったと思います。玉さんも、出会った頃から種を自分で蒔き、庭先をいつも花で満たしておりましたし、園芸店巡りが趣味のような方でしたので、イングリッシュガーデンは異国の憧れから一転して目指すべき目標へと急加速していきます。

今も師匠に習い種まきをする習慣を大切にしています(写真は今はやりの多肉植物・コーデックスのジャンル、デッキアの発芽です)

今も師匠に習い種まきをする習慣を大切にしています(写真は今はやりの多肉植物・コーデックスのジャンル、デッキアの発芽です)

玉さんは、大学観光学科を卒業後に東京庭園の小形研先生(昭和の庭を代表する造園家で雑木の庭の大家)のお弟子さんとして入門したそうです。3年後に師のもとを離れ、同期だった社長と湘南グリーンサービスと言う会社を立ち上げ大きな会社に育てた方です。実践型の職人気質な性格で手先が器用で物知りでしたが、偉ぶる事もなく気さくで話好きな方でもありました。日々仕事の事で頭がいっぱいで、いつも夢を語り、休む間もなく働く方でしたので仕事について行くのは大変だったことを思い出します。仕事をお手伝いした時からいきなり工事を任され、お金は気にせずまず納得いく仕事をするように言われました。肝の据わった方だなと感じつつ、現場に没頭する時間も多く与えて頂きました。会社に戻るとその日の報告と質問をしながら玉さんの造園講座のような話を深夜まで聞く日々でしたし、普通ではなかなかして頂けないような計らいに此方も応えようと必死で現場を回し続けた3年間でした。アイデアマンの玉さんはいつも何かを考えていて、自分もアイデアを思い浮かぶと聞いてもらいましたが、否定される事もなく吸収してしまう玉さんの柔軟性もすごかったと思いますし、他者に伝える能力も高く多くの方の賛同を集め推進力を得ていました。NHKと関りを持つようになると、西武ドームの国際バラとガーデニングショウの立ち上げから主催者のブレンとしてその手腕を存分に発揮し成功に導くなど、何でも引き受けてそれから考え成功させる凄い方でした。

第15回国際バラとガーデニングショウ、主催者展示風のガーデンさんの作品にて高所作業車より俯瞰的に施工中を写しました

第15回国際バラとガーデニングショウ、主催者展示風のガーデンさんの作品にて高所作業車より俯瞰的に施工中を写しました

手探りしながら始まったバラとガーデニングショウも第一回より大盛況となり、年々素晴らしい作品が集まる一大イベントへと進化を遂げて行き、ガーデニングブームを牽引し続けました。そんな中で沸き起こった静岡県浜名湖花博では、モネの庭をプロデュースするなど大きな一幕もあり、作品のために必死で勉強を重ねる玉さんの姿を思い出します。趣味の園芸講師として、イベントのブレインとし活動をしながら、庭造りにも力を注いできた玉さんの偉業は、ガーデニング産業の礎を築き、伝道師として多くの人を育てたと思います。華やかに見える世界ですが、裏の厳しい事情とも向き合う必要もありますし、人知れずご苦労も多かった事でしょう。親しい先輩より7月19日に訃報をうけ、先日は最後のご挨拶をしてまいりました。とても穏やかなお顔で眠っていました。その後、ご家族のみの御葬儀も無事に行われ、御戒名は庭照法弘信士と伺っております。

玉さんこと玉崎弘志氏

NHK趣味の園芸「玉さん庭をゆく」の取材先出のお写真です。休憩の折に写したプライベートなお写真を今回のために頂きました。

ミスターガーデン!!

こうしてパソコンに向かい、玉さんを思い出していると、良い事も悪い事も語りつくせぬ思い出が沸き起こってまいりますが、日本のガーデニングと言うマーケットを産む礎を築き上げ、伝道師として多くの人を育てた玉さん。今はただただ、お疲れさまです、と言う気持ちです。コロナの影響も考慮して今は報告のみとなりますが、いずれ玉さんの意思を受け継いだ園芸、造園仲間で偲ぶ会でも立ち上げたいと考えております。

次回は玉さんから教わった中で印象的だったコニファーを小さくする話題を一つ長くなりますがお伝えしたいと思います。

長雨で被害も出ている中、皆様の笑顔が戻る日を心よりお祈り致しております。
暑い夏も間近ですが、皆様お体くれぐれもご自愛ください。

カテゴリー: その他 タグ: イベント, 玉崎弘志, イングリッシュガーデン, 趣味の園芸講師

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