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ゴマダラカミキリ

西洋シラカバ・ジャクモンティーと立ち枯れの原因について

2020年7月18日 by TanakaAkira

ガーデンデザインを行う時に、お庭のシンボルツリーを何にするか迷いますね・・・。 
過去に人気のあった木として、シラカバを希望される方が多かったと記憶しますので、今回はシラカバについて少し書いてみます。

植え17年ほどがすぎる西洋シラカバ ジャクモンディー

豊島区に住宅密集地に植え17年ほどがすぎる西洋シラカバ ジャクモンディー

ガーデニングブーム以降、我々が活動する関東エリアではシラカバの種類が増えました。国産種以外に西洋シラカバの品種が色々と輸入されましたが、私の25年程の活動の中で、温暖化が進む関東平野部ではシラカバを長生きさせるのが難しいと感じます。臙脂(えんじ)色の葉をしたロイヤルフロストや枝垂れ種のヤンギー等に憧れて自分でも栽培してみましたが生育が悪く、信州の高原に連れて行き、元気を取り戻した経験があります。
そんな中で関東平野部でも条件付きではありますが生育するジャクモンティー種は救世主的な存在でした。

シラカバ ジャクモンティーの若枝は日本のシラカバより白い

シラカバ ジャクモンティーの若枝は日本のシラカバより白い

そんなジャクモンティー種ですが、日照と通風を確保した保水力のある水捌け良い土地に植え付けたものは問題なく生育してくれました。そして日本のシラカバより幹は白く、若木のうちから真っ白な幹をしている魅力的なシラカバです。2年枝から3年枝になる頃でしょうか。幹や枝が太り一皮むけると新しい樹皮は真っ白になります。樹形的には日本の山のシラカバの印象と異なり、放置すると下枝の多い横広がりな樹形になると思われるので、剪定で強制的に日本のシラカバのような樹形を作り幹の白さを強調しています。

狭い空間でも維持しやすい

狭い空間でも維持しやすい

今日はお庭のお手入れに伺った先で、植栽17年程のシラカバジャクモンティーの剪定を行いました。植え付けた時は細い苗木でしたが、2本植えたうちの1本は10年目を迎える事無く木々の生育競争に負けてしまい1本が大きく育っていますが生育は穏やかです。夏の剪定は、あまり切り込み過ぎると生育に影響が出る可能性があるので、不要枝(剪定技法により定義された枝)を切り落とし枝先を切り詰める程度としています。大きな剪定は落葉後の休眠期に行うようにしています。苗木から育てると下枝が残りやすく、下枝の無いスッツとした日本のシラカバをイメージする場合は、早期に下枝を取り除きながら上えと成長を促します。

立ち枯れにご用心、木くずが出たら危険信号

立ち枯れにご用心、木くずが出たら危険信号

ジャクモンティー種は病害虫被害が私の管理するエリアでは少なく、アオドウガネ(カナブン)の多い地域では葉を食害される事もありましたが、あまり目立った症状は出ないように感じます。過去に度々見てきた一番の問題は株元から木屑が出る現象です。木屑の主はゴマダラカミキリの幼虫で、この6月~7月が成虫の繁殖期になりますので特に注意が必要です。成虫は木々の樹冠部分近くに潜み若枝齧り過ごしています。齧られた枝は枝枯れを引き起こします。地際近くの幹に産卵され孵化した幼虫は、樹皮下で発生し樹皮内部を食害しつつ徐々に穴を開けて木部へともぐりこんで行きます。食べた糞は写真のように幹に空いた穴から外に排出されるので、地際を中心に1m程度の高さまでを観察すれば有無が分かります。地際から入り込み根に穴を開けて行く個体が多いように感じますので、発見が遅れる事もあり注意が必要です。

ゴマダラカミキリ等、幼虫(テッポウムシ)による被害の対策

ゴマダラカミキリ等、幼虫(テッポウムシ)による被害の対策

では幼虫が入った場合はどのように対処すればよいのでしょうか?昔は園芸談義をすれば、定番としてスミチオン原液を注射器で等で木屑の出ている穴を探して注入し穴を爪楊枝等で塞ぐ方法が語り継がれてきましたが、現在は農薬の法律が変わり、説明書に記載された適用を守らねばなりませんので、適用外のこの方法はできなくなってしまいました。シラカバに対する適用記載はありませんが、ゴマダラカミキリの幼虫にはキンチョールEが使用できます。他、幹に刷毛で塗り付け、産卵を物理的に阻害する、テッポウムシ予防樹脂フィルム等も市販されています。ゴマダラカミキリは多くの樹種に産卵をするのでシラカバだけではなく、カエデやブナ、バラや柑橘類他、多くの樹種で注意が必要な昆虫でもあり、我々ガーデナーにとっては厄介な昆虫です。

ゴマダラカミキリの幼虫が幹の中で蛹になり羽化する時に開けた穴

ゴマダラカミキリの幼虫が幹の中で蛹になり羽化する時に開けた穴

では放置したり、見逃した場合はどうなるのでしょうか?幼虫は株元から根の中などを食害しながら穴を開けて行きます。最終的な穴の大きさは小指くらいでしょうか・・・。細い木ならストロー状に芯を食われて、風でぽきっと折れて終わりです。太い木でも数匹が食べれば根は傷み、食害された穴に他の虫や木を腐らせる細菌などが侵入して内部から腐り、強風が吹けば倒木被害につながったり、状況が進めば枯死してしまいます。
写真の木は22年前に植栽して7年前にカミキリの被害が出たものです。何とか生きておりますが、こうなってからでは樹勢が弱ってしまいますから心配が絶えません。そうならぬように日々の観察と対応が重要になります。

ゴマダラカミキリの成虫

ゴマダラカミキリの成虫

この虫を見かけたら要注意!! 
庭木のいずれかが犠牲になっている事を疑いましょう。他所から飛来する事も度々ありますので一概には言えませんが、見つけ次第捕殺するのが被害拡大を食い止めるために重要です。多くの個体は樹幹部分付近で若い枝をかじっています。バラなども好物なので、バラがお好きな方も要注意です。この季節が旬の昆虫ですから、お庭の観察を強化して産卵させぬよう退治しましょう。また秋頃より木屑が出始めている木がある場合は早期治療も重要です。

カテゴリー: 管理・手入れ タグ: シラカバ, ジャクモンティー, 立ち枯れ, ゴマダラカミキリ, シンボルツリー, 害虫

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