この季節のサルスベリと言うと、うどん粉病をよく目にしますね。専用の薬剤もありますので、散布するのが一番なのですが、薬を散布しても菌が死んでしまうだけで形の崩れ赤くただれた葉が綺麗になる訳ではありません。発生する事が分かっている場合、気温が20度~25度くらいがうどん粉病が出やすい時期ですので、早めの予防をお勧めします。

インドの高原地帯に咲くサルスベリ
それではうどん粉病に侵され、葉の形が崩れてしまった場合に、それを軽減する方法は無いのでしょうか?この時期ならまだ対策があります。熱帯系の植物であるサルスベリは、新梢咲(春から伸びた新しい芽の先に蕾ができる)と呼ばれる咲き方です。この性質を利用して、6月のこの時期であれば、まだ切り戻しても開花に間に合うでしょう。

本日剪定したサルスベリ、剪定前の状況
冬から春の落葉時期に私はサルスベリを剪定します。写真は冬の剪定を怠ったまま枝葉が伸びてしまった状況です。自粛の時期で剪定が出来なかったためですが、本来なら中剪定と言う方法で、鉛筆程度の太さの枝を切り詰め樹冠を作ります。この場合、春より同程度の太さの枝が勢いよく1m程度伸び、この季節に一度10cm程度まで切り詰めて改めて新梢を出させます。今年はその一連の作業が出来ずどうしようかな・・・。

一昨年の冬の剪定状況はこのような具合に切りました
剪定方法は色々とありますが、私は花をほど良く咲かせる事と樹形を両方とも意識します。先ずは基本の剪定技法に習い、こみあった枝の中から不要枝を抜き取って行き、綺麗に放射線状に枝がバランスよく開いて行くようなイメージで枝配りをします。枝先は鉛筆くらいの太さで10cm程度残して切り詰め樹冠を作ります。この切り詰めた枝の太さで来年の新梢の太さが決まり、その先に着く花玉の大きさが決まります。

サルスベリのこぶ作り
サルスベリの良くある剪定方法のコブ作りです。私は樹形が武骨で苦手ですが、より太い所で切ると太い新梢が出て大きな花玉に仕上がる事から良く行われて来た剪定です。毎年同じ位置で切っているうちに、切口の周りは年々肥大してコブのように育ちます。花は見事ですが、太い新梢が勢いよく伸びて花の重さで新梢が弓なりに垂れ下がり、独特な姿で咲くので好みは分かれます。

本日剪定したサルスベリ、剪定後の状況
今回はこんな感じに切るしかなく、きっと花は小さいと思います。上の写真で紹介しました冬の剪定から伸びた枝を昨年のこの時期に切り戻して、その先に再度成長した30cm~50cm程度の枝先に花をたくさん付けましたが、今回は冬に切らなかったために細かい枝が沢山出てしまい、自然な樹形になっていましたので、そのまま咲かそうかと思ったくらいです。
冬から6月くらいまでなら、何時切っても必ず咲いてくれる新梢咲のサルスベリですので、もしもウドンコ病で葉が傷んでしまったら、思い切って切り詰めて、再度新梢を出し直すのも一案です。そしてこれからの高温の季節はうどん粉病の活動もお休みです。次は秋に涼しくなり始める頃に再度活発になるでしょう。今回の剪定の結果はいずれアップしようと思います。