アガベを種子から栽培して感じる事と栽培のポイントについて
アガベの人気が急上昇、東京の高級店舗等に飾られる等トレンドになっていて、植物の新しい興味の対象として、若者からの支持も多く集めている植物です。リュウゼツランとも呼ばれ、日本でも古くから見られるアガベには、巨大なアメリカーナ種がありますが、綺麗な錦(斑入り種)も含め葉長2mを越える大柄なものもあり、その迫力に記憶されている方も多いのではないでしょうか?
アガベはアメリカ南部から中米にかけて広く分布していて、生息域によって多様に進化した結果、多くの種が存在します。日本では多肉植物ブームが再来したこともあり、特にアガベは人気があるようですので、私が栽培して感じる事を少し書いてみます。
アガベをはじめサボテン他、多肉植物の冬越しのポイントは、完全に乾かして葉の水分量を減らす事です。細胞内の水分に含まれる糖質等の含有物が濃縮されて、不凍液のような状況となり、凍結しにくくなるため少しだけ耐寒性が強まります。
ですので露地植えにするにあたっても、水分を得にくい環境、例えば軒下とか、砂質土とか、環境を吟味したり整える事で育てられる種も増えると感じます。 埼玉県にアガベを見に行った時、路地で全く問題なく育つサルミアナ フェロックスの雄大さに釘付けになりました。、アメリカーナ同様その雄大な姿を楽しむためにありますが、縦に伸びる太い葉が印象的でした。前述のアガベ・パリーもそうなのですが、鉢栽培だとなかなか大きくなりません。このことをメリットととるか、デメリット取るかは用途によると思いますが、早く大きくしたい場合は露地栽培が良いようです。 アガベの性格を知るには各種、実生から育てる事が近道と感じ、20種類ほどアガベを播種して育ててみました。 アガベを9月に播種しましたが発芽率は非常に良い印象でした。鹿沼土や軽石の小粒に酸度調整されたピートモスを2割ほど混ぜ込んだ用土に蒔き、軽く覆土し、1週間ほどで発芽が始まりました。しかし冬の寒さで半数ほどの種が凍死してしまい、寒さになんでもなかったものの中に、乾燥でダメになる種、今度は高温多湿時期にダメになる種類も多く、そして勝ち抜いた種も炭疽病の被害で多くがやられました。
結局、残ったのはパリー種の一部、オバティフォリア種、キシロナカンサ種、ストリアータ種、他、は奇跡的に残る程度・・・。一番注意する必要のある事は炭疽病の脅威から、アガベをどう守るかと言う事だと強く感じました。冬に根が傷む種も多く、排水性や鉢の形状など、課題は色々とあります。 炭疽病が強く出た一例です。ユタエンシス種のように寒さには強くても高温多湿に弱い種もあり、それは生息域と密接に関係しています。炭疽病は園芸植物の病気としては一般的なカビの仲間で、アガベでは湿気の多い初夏と秋に多発します。薬剤も出回っていますので予防すれば効果を発揮してくれるので、怖い病気ではありません。
我が家のアガベも原因が分かったので、必要なものには薬剤で対応するか、環境を整える方法で対処しています。雨に当てない事が大切なので、ワーディアンケースかビニールハウス等を用意して、夏は涼しく冬は暖かく、理想の環境を与える事で病気の発生は減り、より美しいアガベを育てる事が出来ます。他ハダニ、サビダニ類の被害などもありますので、乾燥するとこうした害虫防除も必要になる場合があります。
美しいアガベがたくさん紹介される時代ですが、私の目標は造園材料として優秀なアガベを探し出す、もしくは作り出す事なので実生実験の結果なども踏まえつつ、できるだけ薬に頼らず楽しめる、美しいアガベを追い求めたい欲求があります。
忙しい盛りの我々世代でも十分に栽培が出来て、コレクターアイテムとしても品種数が多く、ベランダなどの雨の当たらない過酷な環境に適している植物もそれほど多くはありません。コーデックス(多肉植物)が若者に人気なのはこんな部分があるからだと感じております。自分に合った植物探しもまた、楽しいですね♪奥の深い園芸世界ですがぜひはまってみてください!!