今年はオリーブの立ち枯れを良く目にしますが、観察するとその原因が一目瞭然で分かるケースが大半です。近所で見かけたオリーブの立ち枯れを参考にその原因をご紹介いたします。

近所の老人福祉施設で見かけた立ち枯れオリーブ
この木は小さなものですが、今年私が見かけただけでも東京、神奈川の各地で散見されます。

葉に付く虫のようなものがわかりますか?写真中央です。
枯れた木を観察してみると、何やら枝にオリーブの実が萎れたようなゴミのようなものが付いています。

摘み取ってみるとこのような虫です。
この擬態したような地味な昆虫が今回この木を枯らした犯人のオリーブアナアキゾウムシです。ではこの昆虫がどのようの木を枯らすのかをご紹介します。枯れた原因は根元を観察すると良くわかります。

株元が見えないと虫の発見が遅れて致命傷になる場合も・・・
株元を見てみましょう。植物で株元が隠されているケースも良くありますが、オリーブを枯らしたくなければ度々株元を確認をすることが大切です。

株元に穴が開き、樹皮が浮いたようになっています。
このようになっていたら既に手遅れの場合も・・・。穴の数は少なくても、樹皮の下は幼虫に食害され無残な状態になっている事が多く、1匹いれば複数の幼虫が食べている可能性も高いのです。そして1本の木に発見してしまったとき、周囲に他のオリーブがあれば、それらも危険にさらされています。甲虫類は羽を持ち飛んで移動する事ができるからです。

お隣に植わっているオリーブ
実際に3mほど離れたところにもう一本のオリーブがありました。此方は枯れてはいませんが元気がありません。

こちらも株元が植物で覆われています。
恐る恐る株元を覗いてみました。結果は穴開きでした・・・。

アナアキゾウムシの羽化痕が二つ穴を開けています。
外見的な傷は穴2つですが、実際は中でかなり食い荒らされています。

これは横浜で4月17日に撮影した画像ですが、浮いたオリーブの樹皮は簡単に剥がれ、中で羽化を待つ成虫もいました。
中はこんな状態で、樹皮下を食い荒らし、植物の生命活動に大打撃を与えてしまいます。樹皮部分(形成層)が一周全て食べられてしまい、上下の行き来できなくなってしまうと植物は衰弱し、枯死してしまいます。まだ樹皮が所々で繋がっていれば助かる見込みもありますが。そのためには徹底的な駆除が必要です。

4月17日に2m程度の小さなオリーブの木から採集したオリーブアナアキゾウムシ達。
春にこれだけのゾウムシを捕獲しました。周囲にオリーブがあれば、周囲の木にもいる可能性が有ります。現在適用のある農薬はスミチオン乳剤ですが、50倍に希釈して散布します。直撃性の薬なので、樹皮下で過ごす幼虫等には注入しない限り効果は薄いと感じますので、成虫が活動する4月頃から秋まで定期的な散布で予防する方法が安心です。同時に常に株元に異常が無いか観察する事も怠らないようにしましょう。
薬を使わない場合はひたすら捕殺するしかありませんが、擬態した見つけずらい虫ですから目が慣れても全てを撲滅するのは難しいと感じます。株元に異常があれば針等で樹皮を突いたりしながら刺殺するしかありませんので、かなり感の必要な作業になるでしょう。
オリーブ人気のため、多くのオリーブが住宅地や商業施設等に植えられるようになりましたが、それぞれが温床になってしまう事も起こり始めています。各自の責任として、庭木の管理を徹底する事が求められるような時代になるのかも知れません。